コトバによる「認知障害」について;実例3分野
◆30年近く、カルチャー教室で写実画を教えて来ました。
油彩画水彩画ですが、油彩画では Ecole de Paris までの泰西名画を 模写することも指導しています。
模写を含めて、motifs は写真画像でまかないます。
ただし、最初の1〜2回講座は、実物の静物 sketch で
ご機嫌を伺います。
3次元空間の中にある立体物を、sketch book の平面に
チャントひき写せるかどうかの、軽い test です。
結論を先に申しますと、
100人の内99人は「小マシな Picaso 」です。
目の前にあるものたちを、それぞれバラバラに適当(不適当?)に配置して、ヤッツケテしまいます。
奥行きや立体感はおろか、大きさや位置関係が無茶苦茶です。
これは、デッサン(dessin=sketch) の手ほどきを
専門的に受けていない人なら 当然の結果です。
何も心配することはありません。
◆斯界で定評の指導書『脳の右側で描け』*にもありますとおり、
義務教育を終えて、普通の知能を授かった人間は、
コトバを操れるようになる時期から、外界の物の形象色彩を
コトバに結びつけた象徴記号として把握します。
コトバにむすびつけた記号? そうです、
山は緑、木の幹は茶色、コップのクチは円形。窓の枠は長方形。
◆えっ? そうじゃなかったっけ?
実際の風景や写真を よ~く見てください。気づきましたか?
◆輪郭スケッチをふくめて、われわれ一般人凡人は
おおざっぱな抽象化を、脳内 主に左脳言語野に結び付けて行っているのです。概略として言えば、そのようになります。
◆反対に、幼児期に言語の発達が遅れた 一部の児童には、
sketchの指導も受けないのに、手指の骨と筋肉が
成人並みに成長していないにもかかわらず、
対象物を 見事に描写できる例があるのです。
Asperger Syndrome (アスペルガー症候群)とか
Savant Syndrome(サヴァン症候群)と呼ばれる障害をもった子供に見られます。
ほとんどの場合、言語に障害があり自閉症です。
◆つまり、sketch をするとき、立体物を認知するのに、
一般人の普通の言語能力は、その作図感覚を邪魔をする・阻害していることがわかってきました。
その精神医学・脳神経学の知見からまとめられたのが、上述の書籍でした。(*原語版初出1973年/Betty Edwards。日本語版/河出書房新社)
◆sketch を行なう上での、コトバによる障害の実態を
日々の講座で慣れ親しんで見ていますと、
他の部面でも、いろいろ氣づくようになりました。
英会話とカルト宗教です。
◇このblogでは、以上の3分野について、あちこちアタマをぶつけながら、お話しして参ります。
本日は、はじめのトッカカリとして、ご案内いたしました。
それでは、この辺で...